独占インタビュー 第46回 【特別企画】 高校スポーツのあした(7) 2010年05月29日
13.学力と運動能力
【国分先生】
「佐々木」 さっきバスケットでおっしゃっていまいしたが、学力高い子と運動神経が一致しないっていうの、野球選手すごく多いんです。
「佐藤」 IQね。
「佐々木」 ちゃらんぽらんな子が結局、野球が上手。
「佐藤」 IQ高いし、頭脳的にもやるし。
「佐々木」 ずるいのが結局、野球もずるくて。
「佐藤」 ずるがしこいってことですよね。
「佐々木」 はい。学校生活はめちゃくちゃなんだけど、野球をやらせたらとびきり上手いと。バスケットもいるんでしょうか?
「佐藤」 いますよ。ただ、私のところには、そういう選手は来ないですね。私はバスケットバカとかスポーツバカとか、最も嫌いなタイプだっちゅうのを、多分、みんな知っているんで。ただやっぱり、賢いっていうね。頭脳的なところしかもう。例えば、大リーグの選手と日本のピッチャーが戦う時にやっぱり、賢さがなきゃダメじゃないかな。
そりゃ、投げ方とかいろいろあるにしても、もう、バレーだってそう。東洋の魔女で優勝したけど、その技術はみんな、外国に持って行かれちゃったら、もう体力勝負では絶対にかなわない。やっぱり、相手をだますとか、そういう頭脳的なところ。このバスケットもそう。その頭脳的っていうところは、勉強して集中力がある者が、先が読めて素晴らしい頭脳的なことをするかっちゅったらそうじゃない。
「佐々木」 そうですよね。
「佐藤」 逆に、これ、ダメなんだけど、まじめさが邪魔しているっていうこと。
「佐々木」 ありますね。
「国分」 うん、あるね。
「佐々木」 これ、どうするんですか?永遠のテーマなんですけど。
「佐藤」 私は諦めないで、最終的には、そのまじめさが、やっぱり、勝ってくれるんですよ。最終的には、そのまじめさのやつが最後の局面でやってくる。賢そうだけども、態度も悪い、だらしない。でも、バスケットや野球IQは高い。でもそれは、大事な時にはだいたいはぽかしちゃうやつ。そこは見極めて(笑い)
「佐々木」 ちょっとその、見えてきたというかですね、さっきの東北人のメリット、デメリットの話で、何でじゃあ、その子たち活躍するんだろうって思ったらですね。大舞台の時も、ちゃらっとやるんです。まじめな子って、「あぁ、ここで打たないと」って、「ここで捕らないと」って思うんですけど。「なーに、そんなのいいじゃないか」って言ってパラっとプレーできるんです。いい意味で、ちゃらんぽらんでやるんですね。東北人ってまじめな子が多くてですね、そういう風に思えない子が非常に多い。
関西の子が2人くらい入っていると、東北(地方のチーム)は強いじゃないですか。「なーにいいんだ、やってやるよ」っていうのがですね、2人くらい入るとみんな感染するんです、それに。みんな関西人みたいになってですね、強くなるんです(笑い)
「佐藤」 ある時に開き直れるんだね。でも、本当にね、まじめでコツコツやる選手がね、開き直れるっていう、その脱力を覚えたら、それは本物だと思いますよ。
【佐藤先生・】
「佐々木」 これをちゃんとしないと教育者としておかしくなっちゃうんですよね。野球だけ上手いから使っちゃうっていう。全部一致させたいんです。勉強も上がって、人間的にもいいから野球も結果が出るんだって。
「佐藤」 そうだね。でも、そういう子が20年後にはそうなっていればいいじゃないですか。
「佐々木」 そうですよね。まぁ、でも、それに近い形で今回、菊池雄星が出たので。
「佐藤」 すごいですねぇ。
「佐々木」 うちはこれから真価が問われてまた、プロを出したときも同じような両方の歯車を。
「佐藤」 150何キロ投げて、尚かつコントロールもすごいって、これ、いないって言うじゃないですか。この前、テレビで見ました。この肩のライン、これがこういう風にならないと。これでスピードがあって、こういうタイプで投げるのはコントロール派だと。すごいですよね、そういう素質を、多分、潜在能力がもう、能力に変わっちゃったんだろうな。そこまで育てたっていうのはすごい。
「佐々木」 いや、何も育てるところなかったんです。
「佐藤」 気質もいいですよね。
「佐々木」 人がすごくいい子なので。
「国分」 監督に似たんでないのか?
「佐々木」 全然。育てたって言いたいところなんですけど、育てるところなくてですね。でも、あれで教育界が変わってくると思うんです。菊池雄星が本を見ていた、トイレ掃除をしていた。スポ少の子たちが「雄星やっていたぞ」って言われる。ところが、今までっていうのは、能力だけ高くて、実はかたや何かしていました、警察にも捕まっていましたっていう子たちがいて。全然、教育にいかされない。
元々、そのためにスポーツあるわけじゃないので。何かいい影響を、これからも菊池雄星に期待したいですけど。そういう人間もますます育てていきたいなと思うんですが、ここが難しくて。
「佐藤」 教育に100%の完成度はないと思う。やっぱり、進化していくもんだと思うんですよ、教育もね。30年前、40年前の教育が通じるところと通じないところがあって、その通じないところは変えていく。
野球もバレーもバスケットも、たぶん、生き物なんですよ。だから、技術も進化しないといけない。でも、やる人間は生き物なんだから、当然、指導の仕方というのは進化していかなきゃいけないし、完ぺきを求めれば求めるほど、完ぺきの天井は高いと。それにずーっと、葛藤を繰り返していくのが指導者だなと。この60になって、少し生意気だけど、60になって言えるようになってきた(笑い)
「佐々木」 なんとか、まじめな子に結果を出させたいんです。どうしたらいいですかね?まじめな子って周りが見えないですよね。1点集中して、パーっと周りが見えないっていうのがあってですね。さっきも言った、開き直りというか、どう養っていったいいのか。
「佐藤」 責任感のバランスがないんでしょうね。責任感が出てくれば出てくるほど、精神的にね。そういうの、たくさんいますから、うちにも。想定練習を、その子のためにいっぱいしてあげるっていうかね。2アウトで、2ストライク、今はスリー、ツーって言うのか。3ボール、2ストライクで満塁であると。その一球に対して、自分の全てを出すという、例えばね。そういう練習をもう、何回も何回も何回も何回も、繰り返して、自信を持たしてあげるっていうか。まじめだけど、まじめさと自信っていうのは違うと思うしね。まじめさと対応力っていうのはもっと違うと思うし。多分、先ほど言うガラッパチの腕白坊主は対応力もあると思うんですよ。一発の勝負強さもあるだろうけど。でも、打たれ弱いはずなんですよ、そういう子っていうのは。もっと逆境になった時に、開き直れない逆境に行った時に、本当に戦える選手ではないはずなんですよね。
「佐々木」 同じようなことを話していますよね、国分先生も。
14.力を引き出す外的要因

【佐々木監督】
「国分」 いや、いや。久夫先生、私ね、ここ(対談内容)に書いてないんですけど、今日、どうしても聞きたいなってことが2つあるんです。1つはですね、何の競技っていうんじゃなくて、高校のスポーツ全体を見たときに、現役(監督)を引退した私からすると、外国人選手の力を借りないとチャンピオンになれないような風潮というかね。日本人として寂しいんだよね。高校駅伝にしても、バスケットにしてもですね。
「佐藤」 そうだね。野球は?台湾から来てない?
「佐々木」 うちですか?
「佐藤」 いや、いや、違うくて。ほかの。
「佐々木」 来ています。ブラジルからも。
「佐藤」 ブラジルからもね。
「国分」 この外国人選手に負けないチームを作られた先生として、佐藤久夫先生、それから、長野の佐久長聖の両角(佐久長聖高陸上部監督・両角速氏)っていう陸上の監督がいるんですよ。
「佐藤」 そうですね。あのー、まず、私はね、留学生がいることに関して、否定はしていないということ。まぁ、中国から来る、セネガルから来る、その他いろいろ来ますね。でも、彼らは生まれた国、それで小さい時に育った国が違うけど、日本にバスケットを学びに来ているんだって思うよと。そして、その留学生を持っている先生たちは、たくさん苦労しているはずなんですよ。生活習慣、宗教の問題、そういったことをクリアして育てていると。まず、そういう苦労を知っておこうと。で、もう1つは、体の部品が違う。要するに、トレーニングをたいしてしていなくても跳ぶんですよね。トレーニングしてなくたって走る力があるんですよ。そういう選手たちと渡り合うのに、まず、戦術面よりも「彼らと戦うことによって個人能力をもっと伸ばしていこうよ」と。「彼らと戦うことによって、あなたたちの潜在能力を引き出してくれるよ」と。「彼らとやることによって、持っているものを引き出してくれるんだから」って言ってね。それでまぁ、上手くいく時と上手くいかない時があるけど、上手くいった時の戦い方はやっぱり、ハートなんですよね。ハート、うん。大和魂なんです、ここはね。それで、やっぱり私立高校であれば、「なんとしても優勝しなさい」と、それこそ条件ですよ。「どういう条件が出そろえば優勝できるんだ?」と。その中に留学生っていう条件を、たぶん、付けるんでしょ。我々は、日本で生まれた選手たちだけで戦うということは、逆にいうと、それが看板ですから。我々は純血というか、なんか、そんな看板があって、それを支えに戦っている。ただ、留学生をもって、日本のバスケットが発展するかっちゅったらこれは発展しません。
「国分」 うーん、なるほどね。
「佐藤」 これはもう、それで発展するだろうなんて言っている人もいますけど、それは、たぶん、ないですね。ま、私なんかは、留学生とやると、異常にハッスルするっていうか(笑い)やっぱり、負けたくないっていうか。
「国分」 うん、うん、うん。
「佐藤」 かといって、寂しいこともあるんですよ。片一方では、そういう選手に頼って、チームを作っていくと。もう少し、まだあんた若いんだから、もうちょっと苦労してもいいんじゃないかなって、こう、寂しく思うこともあります。
「国分」 なるほどねぇ。
第8回に続く【全8回】
- 国分秀男 氏
- 生年月日:昭和19年3月28日
- 出身地:福島県福島市生まれ
- 福島高-慶応義塾大
- 東北福祉大学特任教授(元古川商業高校女子バレーボール部監督)
- 昭和48年、京浜女子商業高(現白鵬女子高)から古川商業高(現古川学園高)に奉職。商業科で教鞭を執る傍ら、女子バレーボール部を指導。
春高バレー、インターハイ、国体で全国優勝通算10回(全国私学大会を含めると12回)。準優勝7回。第3位14回。平成11年には高校女子バレー史上5人目の「三冠王」監督となる。宮城県大会以上の優勝回数150回、全国大会出場77回を誇る。菅山かおる、板橋恵、大沼綾子選手など全日本に多数の選手を送り出している。
平成16年4月から東北福祉大特任教授に就任し、「健康デザイン論」、「ヒューマンデザイン論」などを講義。全国各地で講演活動も行っている。好きな言葉は「夢を見て 夢を追いかけ 夢を食う」。

- 佐藤久夫 氏
- 生年月日:昭和24年10月18日
- 出身地:宮城県仙台市生まれ
- 仙台高-日本体育大
- 仙台大学准教授・明成高校男子バスケットボール部ヘッドコーチ
- 大学卒業後、宮城県内の公立高で教員として女子バスケットボール10年間、男子バスケットボール4年間の指導を経て、昭和61年、母校・仙台高に赴任し男子バスケットボール部を強化。以来、チームを全国上位に導き、仙台高で14年目、指導者として29年目の平成11年に全国高等学校選抜優勝大会(ウインターカップ)で初の日本一。翌、平成12年には国体、ウインターカップでの2冠を達成。平成8年から平成14年まではU-18日本代表のヘッドコーチを務める。平成14年、仙台高を退職。日本バスケットボール協会強化本部でエンデバー制度の一貫指導システムを構築。
平成16年、仙台大准教授となり、平成17年に明成高男子バスケットボール部創部と同時にヘッドコーチに就任。創部5年目の平成21年、ウインターカップで明成高初の日本一に導く。実績がさることながら、その手腕は高校バスケ界NO.1と言われている。趣味は墨絵、囲碁、パソコン、カメラなど多彩。志村雄彦(bjリーグ・仙台89ERS)、宍戸治一(bjリーグ・埼玉ブロンコス)、佐藤濯(JBL・レラカムイ北海道)などを育てた。

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